みんなとの旅は、とても楽しかった。
 みんな、すごく賑やかで。
 そして、何時でも楽しそうだったから。

 よく笑って。よく喋って。よく歌って。よく騒いで。よく暴れて。

 ぼくは、本当にたくさんの経験をした。



「いくぞ、グランドライン!!」



 運河を駆け上がって。
 でっかい金魚に飲み込まれて。
 空だって飛んだし。
 雲の海も走った。


 皆、いつだって嬉しそうだった。


 恐い思いもした。
 火をかけられた時は、本当に恐ろしくてたまらなかった。
 チョッパーと空の騎士さんが護ってくれたけど。
 不思議な声で、バラバラにされそうになったり。
 鉄の槍で刺された事もあったし。
 ヘンなヒトに食べられそうになったりもした。
 ルフィがマストを持ってっちゃった時は、どうしようかと思った。

 でも、いつだってみんなと一緒だったから。


 だから、頑張れたんだ。


 みんなと一緒なら、何処へでも行けるって。
 ぼくは本当にそう思ってた。
 みんなとの旅はビックリする事も多かったけど、でもそれ以上に楽しくて。
 ずっと一緒にいたい・って、そう思ってたんだ。














 …………本当に、そう思ってたんだ。
















 だけど。






 ぼくは、この海を旅するには、少しだけ小さすぎて。
 この波を乗り越えて行くには、ほんの少し……弱かったんだろう。


 少しずつ、ぼくは弱っていった。
 外板のずれ、マストの歪み。
 何よりも、むりやり地上に上げられた時に、竜骨が痛んでしまった。









 次の岸辺まで。
 無事に皆を運べるだろうか……?









 何度も何度も、そんな不安が頭を過る。
 航海士がナミじゃなかったら、ぼくはもっと早くに壊れてただろう。



「じゃあさ、船大工、仲間に入れよう!!」

「メリーはおれたちの『家』で!!『命』だぞ!!この船を守ってくれる船大工を探そう!!」



 ありがとう、ルフィ。
 その気持ちはとても嬉しい。


 ……嬉しいけれど。






 でも、ぼくは………………。












 …………この海を。







 何処までも。















 みんなと一緒に行きたかったけど………………。















「メリー、お前……。本当にもう……走れねェのか……?」








 ……ごめんね。




 ずっと一緒に行きたかった。

 もっとたくさん、冒険したかった。

 もっと色んなものを見たかった。

 もっともっと、みんなと過ごしたかった。



 ルフィが海賊王になるまで、運んであげたかった…………。










 …………でも。









 ぼくの   旅は …………










………………  ここまで   









みたい だ   ……   …………か  ら   。

















 本当に   ごめん     ね  ………… ……。













5th, MAY, 2007

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………………自分で書いてて、切なくなって来た。
メリーは最後まで、一緒に行きたかったんだろうなぁ。
ルフィが海賊王になるトコ、見せてやりたかったなぁ。

竜骨が痛んだのは、空島で生贄の祭壇に上げられた時・と推定。


今回の台詞は、原作から抜粋してます。ご了承を。



2007.5.5



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